ビザとか税金のお話

先日のボスの記事に対するはてぶコメントで

ビザとか税金とか給料とかどうなってるのか非常に気になる。アイルランドはよく知らないけれど、まさか観光ビザじゃないよね?

http://b.hatena.ne.jp/naotoj/20110804#bookmark-53640942

というコメントがあったので当時調べたことなどを記憶を辿りながら書いてみる。

ビザのこと

きっかけはチームで行った合宿でした。そのときのプレゼンでこれまでやってきたこと、これからやりたいことなどを喋る場があったのですが、どうせ独身だし、フリープログラマだし、在宅でいいなら日本じゃなくていいよなぁということをプレゼン当日の早朝に思いついて軽くビザのことを調べました。当時パスポートも持ってなくて海外旅行すらいったことなかったのですが、以下のようなビザがあるということがわかりました。(実際はもっといろんな種類がありますが)

  • 観光ビザ
  • ビジネスビザ
  • 学生ビザ
  • ワーキングホリデービザ

この中で長期滞在が可能でいろんな制約が少なく(銀行口座開いたり、家を借りたり、現地企業で働いたりなど)、ビザ取得に外国語能力が特に問われないということでワーキングホリデービザ取得したら海外行っちゃってもいいんじゃないのか?と思って、プレゼンの場でしゃべってみたところ思った以上にポジティブな反応が返ってきたので、本気で準備することになりました。

さっそく本格的な調査を始めたのですが、ひとつ重要な点として多くのワーキングホリデービザは30歳までという年齢制限がありました。当時30歳手前だったので結構ギリギリでしたね。日本とのワーキングホリデー協定国はWikipediaに記載されている通りです。この中で英語圏に絞った結果以下の国が候補になりました。

あとはもう主観的なイメージで日本人が少なくて英語がしっかり学べそうと理由で

  1. イギリス
  2. アイルランド

のどちらかにいきたいなと思って申請書類の準備などを始めました。これが大体2010年の9月頃ですかね。それと平行してどちらもダメだった場合の保険として取得が容易なカナダのワーホリビザの申請をしておきました。こちらはすぐに取得が出来て11月頃には手元にあったと思います。第一希望のイギリスですが現在アイルランドに滞在していることからもわかるように見事に抽選に漏れました。抽選というか先着順ですが、、、今年はなんと開始からわずか十数分で打ち切りでした、、、。で、結局アイルランドのビザを申請して震災のドタバタで各国大使館が業務停止したり色々トラブルもあったんですが5月下旬くらいに無事に手に入れました。ビザというか正式にはビザ発給許可証です。このビザ発給許可証をアイルランド入国時に入管で提示するとまず一ヶ月の滞在許可が与えられ、それから4週間以内にGNIB(アイルランド入国管理局)に外国人登録することで正式に1年の滞在許可が得られます。外国人登録には住所が必要なので僕はまだ登録出来てません。早く家を決めないと、、、。

税金のこと(住民税について)

まず、日本の住民税に関しては1月1日時点で日本国内に居住している場合、つまり住民登録している場合、当該自治体に1年分収める義務が発生します。1月1日時点では神奈川県で住民登録していたのでこれは既に1年分まとめて収めてしまいました。そして今回出国するにあたって1年間という長期の予定なので住民票は国外転出ということで抜いてきています。つまり来年1月時点でアイルランドに住んでいる場合は2012年度の住民税は収めなくてもよいということになります。

税金のこと(所得税について)

僕はフリープログラマなので所得は給与所得ではなく事業所得となり、事業所得に対する所得税を毎年青色申告で確定申告を行って収めています。今年これがどうなるかですが、まず重要な点として納税者である僕自身が、日本の居住者なのか、非居住者なのか、アイルランドの居住者なのか、非居住者なのかということがあります。この部分がどう判定されるかによってどの国に対していくら税金を収めないといけないのかが大きく変わってきます。2011年度の場合、日本が5ヶ月、カナダ2ヶ月、アイルランド5ヶ月となりますが、カナダ滞在の2ヶ月間は日本国内の住居をそのまま維持していたので、日本の居住者と判定されることになるはずです。この場合、

(1) 非永住者以外の居住者
非永住者以外の居住者は、所得が生じた場所が日本国の内外を問わず、そのすべての所得に対して課税されます。一般的にはほとんどこのケースに該当します。

http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2010.htm

ということなので、日本、カナダ、アイルランドで生じたすべての所得を日本に納税すればいいというふうに理解しています。

では、来年度(2012年度)についてはどうなるかというと、アイルランドにこのまま滞在し続けた場合は2012年度のアイルランドでの滞在期間が7ヶ月であり、恒久的な住居もアイルランドにあるため日本の非居住者であり、アイルランドの居住者であると判定されることになります。アイルランド側から見た場合でも

Tests of residence

Test 1

The first tax residence test is that an individual is regarded as resident in the State for tax purposes for any tax year in which he or she spends 183 days or more in the State.

Test 2

Where the time spent in the State in a tax year is less than 183 days, then the second test comes into play. The second tax residence test is the 280 days two-year test and involves taking account of an individual’s presence in the State, not alone in one tax year, but also in the preceding tax year. Under this test an individual is regarded as tax resident in the State for tax purposes for any year in which he or she spends a total of 280 days or more in the State in the tax year and in the immediately preceding tax year. However, this test will not apply in any year that an individual is present in the State for not more than 30 days.

http://www.revenue.ie/en/tax/it/leaflets/res1.html

というルールになっており、2011年度が183日未満なのでtest1ではアイルランド居住者と判定されませんが、2012年は183日を越えるのでtest1でアイルランド居住者となります。つまり、アイルランド滞在後の5ヶ月を日本に戻って過ごしたとすると、アイルランドの7ヶ月で稼いだ所得は日本の「国外源泉所得」、日本に戻ってから5ヶ月で稼いだ所得は日本の「国内源泉所得」という理解をしています。

2 非居住者の課税所得の範囲
 居住者以外の個人を非居住者といいます。
 非居住者は、日本国内において生じた所得(国内源泉所得)に限って課税されます。

http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2010.htm

そのため、アイルランドで稼いだ7ヶ月分はアイルランドへ、日本で稼いだ5ヶ月分は日本へそれぞれ納税することになるはずですが、とてもややこしいのでアイルランドの居住者判定されない期間で日本に帰ってしまってすべて日本に納税するようにしたほうがいろいろと簡単だよなぁ、、、と考えています。実際、2011/7/30日からのアイルランド滞在日数が280日未満になるようにすればtest2でもアイルランド居住者とはされないため、予定より3ヶ月ほど早く切り上げて日本に帰国するならば日本にすべて納税、ということになると認識しています。あとアイルランド所得税率はすごく高いんですよね、、、。日本のような経費申請とか各種控除がどうなっているのか等見えないことが多すぎますし、こちらの現地企業で働く予定は今のところないので、PPS(社会保証番号)を取得するつもりもないんですが、この番号がないと税金の申請が出来ないらしいです。僕みたいなワークスタイルにこの辺のルールが追いついてないような気がします。ここら辺の知識が付け焼き刃すぎるのでSkypeだけで安く相談出来るような税理士さんがいるとすごく助かるんですが、格安でこんな面倒な相談に乗ってくれる税理士さんが果たしてどこかにいるのかどうか。

上記居住、非居住者判定もですが、アイルランドの税金に関しては http://www.revenue.ie/ で勉強しています。